
大気汚染とニキビやアトピーなどへの影響
何の意識も無く呼吸をしておりますが、「世界の人口のほとんどは、大気の質が世界保健機関によって設定された汚染物質レベルのガイドラインを満たしていない地域に住んでいます。」だそうです。
韓国皮膚科学会と韓国調査皮膚科学会による研究による、大気汚染が皮膚疾患や皮膚の老化に重大な影響を与えるという報告。
Air Pollution and Skin Diseases (Annals of Dermatology)
要約
例として、酸化ストレス、炎症、皮膚バリアの破壊を通じ、老化、アトピー性皮膚炎、ニキビ、乾癬、脱毛、皮膚がんなどの皮膚疾患を引き起こしたり悪化させることが示されたとあります。
特に、微粒子(PM)やオゾン(O3)などの汚染物質がこれらの影響に関与している。
- 皮膚の老化: 屋内外の環境要因(例:太陽光、タバコの煙、調理による煙など)により、シワ、色素沈着、たるみなどの外因性皮膚老化を促進。とくにPM2.5では色素斑を20%以上増加させ、コラーゲンやエラスチンの分解を加速。
- アトピー性皮膚炎: 汚染物質は皮膚バリアを損傷し、アレルゲン感作を増加させる。PMや揮発性有機化合物(VOC)の濃度が高い日は、アトピー性皮膚炎の症状が悪化傾向。
- ニキビ: PMやNO2(二酸化窒素)の増加は、皮脂の組成変化や炎症反応を引き起こし、ニキビ悪化要因に。
- 乾癬: 大気汚染はアリール炭化水素レセプター(※AhR)の活性化を通じて乾癬の活動を高め、悪化リスクを増加させる。
- 脱毛: 酸化ストレスやAhRの関与により、汚染物質が脱毛を促進。
この研究では、大気汚染が皮膚の健康に及ぼす影響のメカニズムとして、酸化ストレス、皮膚バリアの障害、炎症、マイクロバイオームの変化を強調しています。公衆衛生レベルの問題として大気汚染の削減、また個人レベルでは保護策(紫外線対策や抗酸化剤の使用)が推奨されています。
※AhR : アリール炭化水素受容体シグナル伝達経路は、さまざまな皮膚疾患に対する大気汚染物質の影響を媒介することにも大きく寄与します。さらに、大気汚染物質は皮膚のバリア機能を破壊し、炎症を引き起こす可能性があります。
といったところです。
以前にも「大気汚染とニキビのある人の敏感肌」という記事で、中国での調査をお伝えしています。同じような話にはなりますが、都市部だけでなく世界規模の環境問題といえます。
考えられる対策としては
本来的にはこれらは公的な公衆衛生上の問題として、排出規制など頑張っていただきたいところです。
個人の治療やケアに関していえば、抗酸化的、抗炎症、バリア機能向上や保護の方向で治療やスキンケアを、ということになります。
バリアが弱い方の場合、一般的なニキビ治療では肌を傷めやすいので、このあたりはご自身の肌と兼ね合いを考える方がよろしいかと。
肌を傷めずニキビ対策はどうすれば?
上記はニキビの悪化要因とされていますが、様々な刺激はバリア層を急いで作らせる傾向があり、それが毛穴をふさぐ一因にもなります。
肌を刺激せず、環境から身を守ったり、またケアの作業自体も刺激にならないよう注意が必要になります。
まずはカウンセリングフォームからご相談ください。
私たちもあなたと同じように、悩んでいました。でも今は...
2025年7月10日12:00 / 投稿者:kazuyuki terada