過酸化ベンゾイルでもニキビが治らない

「過酸化ベンゾイル(BPO)の薬でもニキビが治りません」というご相談


過酸化ベンゾイル(BPO)配合薬は、日本で使用され始めた当初は「欧米でにきびの標準治療薬」「海外ではニキビ治療に最も有効と言われる」「遅れていた日本もようやく」など、朗報として紹介されていました。

でも

  • 社会人になってニキビが定期的に繰り返し、ニキビ跡になります。
    皮膚科で処方された過酸化ベンゾイルの塗り薬は効果なし。ピーリングやIPL を試したが効果なし。
  • 最近はベピオゲルを塗っていますが過酸化ベンゾイルの剥離作用で乾燥しますし、副作用で余計に見た目が酷くなるので辛いです。
  • 1年半前に過酸化ベンゾイルを使用して一時よくなるも再発。赤紫色のニキビ跡がたくさんあり、ニキビもできる。ケミカルピーリングを二週間に一度やりましたが変化なしの状態です。

過酸化ベンゾイルで治らないニキビ相談

というように、ニキビが出続け、跡も残るなどのお悩みの方もいます。

この場合どのように問題を考えるか、他の道は?など選択肢の一つとして考えていただければと思います。

ニキビの形成

ブツブツした見た目のせいで誤解が多いですが、ニキビは肌表面のバリアが毛穴をふさぎ、皮脂が毛穴から外に出れなくなり、その中でニキビ菌が増殖するというプロセスで形成されます。

ニキビの原因

ニキビ菌は、通常誰の毛穴にも普通にいる菌です。
普段は問題はありませんが、酸素が嫌いで皮脂が好き(嫌気性好脂性)という菌なので、毛穴がふさがり皮脂がたまる状況では過剰に増殖しやすく、炎症の原因となります。

ニキビに対する過酸化ベンゾイルの効果とは?

過酸化ベンゾイルには角質剥離作用があります。

過酸化ベンゾイルの作用機序

ニキビには肌表面のバリアが毛穴をふさぐことで始まるので、バリアを剥離すれば「ニキビに穴を開ける」「詰まりを取る」ことができます。
これはピーリングディフェリンと同じような考え方になります。

また、過酸化ベンゾイルは酸化作用により嫌気性(酸素が嫌い)のニキビ菌を攻撃します。そのため抗生物質を使わずに、殺菌も可能になり耐性菌の心配もありません。

あなたもエピデュオゲルデュアック配合ゲルベピオゲルといったお薬は処方された経験があるかと思いますが、「バリアの剥離、殺菌」をしていたとお考え下さい。

副作用で痛い、赤みが出る

このようにニキビを治療するには適切な方法となるのですが、肌の表面は「体を守るバリア」です。

過酸化ベンゾイルはバリア構造を壊しながらニキビを治すので、肌はバリアが壊れた時の様々な反応を起こして体を守ろうとします。

ただ、この反応が肌をきれいに健康にするわけではありません。

過酸化ベンゾイルのメリット

とはいえ通常ならニキビは部分的、一時的なものですので、できた症状を治せれば問題はありません。
(参照:過酸化ベンゾイル製剤の解説 日経メディカル)

治ってもまたニキビが出る

過酸化ベンゾイルのお薬に限りませんが、ニキビの治療は「毛穴をふさぐ角質、皮脂、ニキビ菌」など、それぞれ、もしくは、複合的にアプローチしてニキビを治療します。

ニキビを治すことは難しいことではないのですが、ニキビを構成する「角質、皮脂、ニキビ菌」は正常な肌のバリアにも必要なものです。

これらの構成要素が「ニキビができるバランス」になっている結果、毛穴でニキビが形成されてしまうだけです。

過酸化ベンゾイルのデメリット

ニキビ自体を治し(壊し)ても、肌のバランスが「ニキビができるバランス」のままの場合、ニキビはできやすいままです。
またこのような肌で体を守るバリアを過剰に壊すと、トラブルが長期化したり、複雑になる場合もあります。

(参照:「何をしてもニキビが治らないのはなぜ?」というご質問

輸入品には注意しましょう

  • 海外の過酸化ベンゾイルを含む薬を使用し、一時的に比較的改善しましたが、社会人になからは治りにくくなりました。
  • 過酸化ベンゾイルをアメリカから個人輸入し、一度ツルツルになったのに、5年ほど使用して効果が無くなり、ディフェリンでも改善されません。
  • 今は、過酸化ベンゾイル配合の某化粧品のアメリカ版を使用していますが、早く辞めたいですが、肌の調子がよく、使うのをやめると悪化するのが怖くてやめられません。
    ニキビがなかった頃に比べ、人と接するのが苦手になり、周りが楽しそうなのを見て、すごく憂鬱になります。

個人輸入の過酸化ベンゾイル

以前は上記のように、過酸化ベンゾイル製剤を個人輸入で使用する方がいらっしゃいました。(顔中が皮ムケの状態でご来店される方もいました。)
現在では普通に皮膚科で処方されますので、指導に従って使用する分にはさほど心配はないかと思います。

いずれにしても作用の強いものですから、日本では化粧品への配合は認められていませんが、アメリカなどでは化粧品にも配合されており、同名で成分違いの製品が日本でも販売されています。

また、ネットでは今後も個人輸入代行で販売する業者も増えてくると思います。

中高生などが自己判断で使用するレベルの物とは違うかと思いますので、保護者の方は気を付けていただく方が良いでしょう。

過酸化ベンゾイルで解消しないニキビはどうすれば?

過酸化ベンゾイル(BPO)薬自体は、「ニキビ」に対しては効果的、効率的な治療薬と言えるものです。

でもニキビは「肌表面、皮脂、ニキビ菌」といった「誰の皮膚にも存在するもの」のバランスの崩れでできてしまいます。

ニキビの治療薬は肌のバランスを回復したり、維持するものではありませんので、ニキビが「出続ける」「できやすい」「悪化しやすい」などの問題を解決するものとは目的が違います。

また、長期的なニキビの改善は「肌のバランスの回復と維持」が欠かせませんが、これもニキビ治療によってかえって難しくなる肌質の方もいます。

もしあなたもニキビの治療薬で、長期間ニキビをくり返すなら、まずはWEBカウンセリングからご相談ください。

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2020年8月8日20:36 / 投稿者:kazuyuki terada