界面活性剤とニキビ

合成界面活性剤不使用なのでニキビに良い?というご質問


ニキビ、敏感肌市場では、「〇〇の入っている化粧品は肌に悪い」という化粧品の販売方法があります。

例えば頂いたご相談では

  • 界面活性剤、防腐剤が肌を荒らす原因がとゆうことで、無添加化粧品を使うようになりました。
    でも、なにも塗ってないときより、肌荒れしてきて、問い合わせると肌荒れなど乾燥は肌が自ら潤おうとしてる初期症状なのでそのまま使い続けてくださいと言われました。
  • 皮膚科で出されたディフェリンを塗ったら顔がヒリヒリして真っ赤になり途中でやめました。化粧品も無添加、界面活性剤不使用のものなど使って居ます。
    全く良くなりません。何がいけないのでしょうか?
  • ニキビが治った事例がいくつもあるエステへ通っているが、思うように良くならず。
    合成の界面活性剤などは使用せず、肌本来の力を引き出すようにするホームケアで、裏に専門のドクターがいてアドバイスをくれながら化粧品を使用していますが、一向に良くならないため、気力を失いつつあります。
  • ●●を使い出し、驚く間にニキビが消えて高校生の頃はニキビで悩むことはありませんでしたが効かなくなり始め、またニキビが出始めてまた顔中ぶつぶつ状態に。
    化粧品は合成界面活性剤が入ってないものや無香料無着色のものを使うようにしています。
    もうニキビに悩みたくありません。

など。

過去、「界面活性剤叩き」は、敏感肌化粧品市場の販売方法として使われることが多かったのですが、最近もまたネットでの販売に使用される話法のようで、いまだにご質問をいただきます。

先日の「化粧品の鉱物油」と合わせて整理しておきましょう。

肌の構造と仕組み

まず化粧品の前に、化粧品を使用する肌の構造と仕組みについて知っておく必要があります。

私たちの身体は、皮膚に覆われ、皮膚は表面に角質層というバリアを造り続けています。

角質層を構成するのは、死んだ角質細胞、脂質、アミノ酸などですが、これら細胞や物質を「入れ替えながら」、このような「構造が安定」している肌は、健康で見た目にもきれいで、トラブルにも強い状態です。
(参照:きれいな肌とは

「界面活性剤の害」とされるもの

まず界面活性剤(主に合成界面活性剤)の害として宣伝される話では

強い洗浄力によって

常在菌の殺菌
肌のバリアを破壊

が上げられます。
その結果肌に以下のような影響がある

経皮毒、有害物、香料、タール色素が肌の内部に浸透
体内・細胞を破壊

そして肌は

アレルギー
肌トラブル
老化促進・・・・

といった前提を置きます。

もしくは

大手の化粧品メーカーは、美容成分を浸透させるために活性剤でバリアを壊す

などでしょうか。

もちろん、その後は

「わが社の製品はホニャララだから安全」と続きます。

とはいえ、そもそも論ですが、実際に化粧品に使用される界面活性剤については「使用しているから肌に有害、使用していないから肌に無害」のような二項対立に無理があるのです。

化粧品の界面活性剤の役割と使われ方

界面活性剤とは、簡単に言えば「水と油を混ぜるもの」です。
本来なら、水と油はドレッシングのように分離しますが、これを混ぜることでマヨネーズのようにします。(マヨネーズは酢と油を卵黄で混ぜます。参照:マヨネーズはコロイドだった!

他にもチョコレートやアイスクリームも界面活性された状態ですし、牛乳も「脂肪と水が混じったもの」です。(一日中振っていると、水と脂肪に分離して、できるのがバターができます。)

化粧品での使われ方は、クレンジングや洗顔料のような洗浄剤、クリームや乳液で乳化剤として使用する場合があります。

化粧品の界面活性剤

まず保湿剤に使用される場合は、むしろバリア構造の補助のために水と油を混ぜ乳化しているものです。「バリアを溶かす」ではなく、むしろ肌表面で「バリアの補助」として機能するため水と油を混ぜています。

界面活性剤の悪評は、端的に言えば「洗いすぎ」を問題にしていることが多いものです。

また、「特に合成界面活性剤は」「驚くほどの浸透力」「そのため体を壊していく」など表現があります。

これは先ほどの「美容成分を浸透させるためにバリアを壊す」という話法と同じく、多くのメーカーの宣伝が「成分の肌への浸透」を謳っていることを逆利用したものです。

でも、化粧品は薬ではないので、「浸透して効果を発揮」は期待する必要もありませんし、そのような期待の仕方はケアを誤ります。

同時に「使用を避ければ問題が解決する」と考えるのも、判断基準がズレています。

もちろんメーククレンジングや洗顔料などは、肌表面の皮脂膜もある程度洗い去ります。

が、これはメイクや日焼け止めで「紫外線の害」から肌を守ることとのトレードオフです。

紫外線に晒したり、汚れを放置しても肌は刺激に反応を起こし、トラブルの要因になります。

つまり、スキンケアは「化粧品の作用で肌をきれいにすること」でもありませんし、逆に「化粧品の害を避けること」でもありません。

一連のケアで、肌が安定的にきれいな状態のバリアを造り続けるため、「肌の手伝いをしてあげる・バランスを取る」がポイントになるのです。

界面活性剤を「使用する/しない」「どの界面活性剤をどの程度」などのバランスは、まず「対象とする肌」そして「スキンケアの目的」「方法」に合わせて処方されていればいいのです。

「入っていない方が良いのか?入ってる方が良いのか?」話法

この手の話になると、「だったら界面活性剤が入ってる方が良いというのか?!」という話をする方もいます。

実際、化粧品関係者のおじさんたちが議論しているのを見たことがあります。目の前で。

しかし先程までの話から考えれば、例えば洗顔料の話なら、「過剰な洗顔にならず、汚れは落とせること」「安全な種類・範囲」で出来上がっていることがクリアできていればいいだけです。

であれば「汚れが落ちないから、ゴリゴリ洗う洗顔料がいいの?」という話にもなるわけです。(実は割と多い問題かもしれない・・・)

とはいえ化粧品は嗜好品でもある。が、

ここまで書いて手のひらを反すようですが、

一定以上の安全性が担保された製品を、健康な肌に使用しているのであれば、「界面活性剤不使用」の化粧品使用も消費の楽しみでいいかと思います。

でも逆に、トラブルを起こしやすい肌の場合、化粧品について「何を使うか」「何を選ぶか」に話が収斂されると、スキンケアとしてのバランスが欠けたり、上記のように情報に無理がある場合、かえって肌を痛めたり、回復の機会を遅らせることもあります。

少なくともニキビの慢性化を含めて「トラブルを起こしやすい肌」の方は、化粧品自体に過度に期待するのではなく、肌の仕組みや役割と、現状の肌から課題を考え、地道にケアに取り組む必要があります。

これは地味で詰まらないかもしれませんが、肌をきれいにしていくには、ある程度「宣伝ほど楽しくない知識」とスキンケアに落とし込める「解釈」が必要です。

このあたりはいっしょに肌の様子を見ながら相談に乗ってくれる、信頼できるお店や販売員さんを探すことが、化粧品選びよりも大事です。

もし当社でのご相談をご希望の場合はWEBカウンセリングからお願いします。

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2020年10月17日13:37 / 投稿者:kazuyuki terada