
皮膚常在菌バランスに着目した新しいニキビ治療の研究
Anna Czaplicka氏による研究「ニキビ治療における皮膚微生物叢のバランス – 局所製剤の役割と新しい治療戦略」という記事がありましたので要約で紹介。
もくじ
ニキビができる過程と、従来のニキビ治療
当HPでも、ニキビを「肌表面のバリアが毛穴がふさぐ→皮脂が出れず→酸素が嫌いで皮脂が好きなニキビ菌で炎症」と説明しています。
そして、これらに対応するため、ニキビ治療は、おおむね「ピーリング的な手法・薬剤でのバリア除去」「ピルや、一部ビタミンA誘導体などで皮脂抑制」「抗生剤で殺菌」などの方法になります。
従来のニキビ治療と、それで生じる問題の解決
ここでは「今までの」ニキビ治療の問題点が、「常在菌のバランス」の問題意識から提示されています。
基本的に上記のような「バリアの除去・皮脂抑制・殺菌」などが「ニキビ治療」になりますが、用いられるBPO製剤、抗生物質、レチノイドは、ニキビに有効であると同時に、皮膚バリア障害や抗生物質耐性のリスクがあり、その結果、皮膚の細菌叢に異常が生じるという懸念(ディスバイオシス)を是正する治療の必要性が高まっている。
という前提です。
普通の毛穴では「ニキビ菌は肌に役立つ菌」で、これには複数のタイプ・株の種類があります。このうち「ニキビを悪化させるもの」に焦点を当てた「常在菌の調整」を、新しい試みとして論じられています。
大枠としては、プロバイオティクス(有益な菌を補充)、プレバイオティクス(善玉菌の成長を促進)、バクテリオファージ(狙ったニキビ菌を標的に減少)など、常在菌やそれらに関連する機能を利用し、ニキビや炎症を治療しようというものです。
(参照:美肌育成に欠かせないニキビ菌 , 善玉ニキビ菌と悪玉ニキビ菌?)
ニキビ治療のメリットとデメリット
ニキビ治療にはバリアの損傷やバランスの変更を伴うことが多いですが、大半の人の肌にとっては一時的なものであり、早く治して終わることの効率性・メリットは多いと言えます。
とはいえ、上記の記事や、以前のニキビワクチンに関する記事の紹介でも提示されているように、ニキビ治療は「ニキビの治療」が目的で、「常在菌バランスや肌全体のバランス改善」を目的にしていません。一部の人ではそれによるデメリットも生じます。
新治療も対症療法にはなるかと思いますが、肌のバランスにとってダメージが少ない方法が一つでも増えるのは朗報と言えるでしょう。(おそらく従来治療にプラスされる形になるかとは思いますが・・・。)
「美肌菌」の有用性
また、記事内では美肌菌・善玉菌とされる「表皮ブドウ球菌」についても述べられています。
表皮ブドウ球菌は、肌表面のphを弱酸性に維持し、有害な菌が増えにくい肌環境を作るために必要ですが、これが生成するコハク酸は C. アクネの毒性株の増殖を、選択的に阻害し、炎症を抑制する働きもあります。
もちろん「薬」のように効くというわけではないですし、表皮ブドウ球菌が「優位」でいるための「肌環境」や、その状態の「安定」があってのことです。
(参照:肌表面がアルカリ性に傾くバランスの崩れ , 弱酸性の肌表面が重要な理由)
肌のバランスを整えトラブルに強い肌になるには?
本来、これらの問題は、長期的・循環的なことなので、やはり「普段の肌の状態」が大切なポイントになります。
スキンケアの範囲で言えば、「菌が増えれば環境が良くなる」と「環境が良いから良い菌が増える」には、本来区別はありません。これはセットです。
どうすればよい循環にできるのか?まずはカウンセリングフォームからご相談ください。
私たちもあなたと同じように、悩んでいました。でも今は...
2025年10月2日12:00 / 投稿者:kazuyuki terada