ターンオーバーを促せばニキビは治る?

ターンオーバーを促してニキビは治るのか?というご相談


ターンオーバーとニキビについて、誤解にもとづいていたり、相性の悪いケアや治療をされ、かえってトラブルを悪化させるケースがあります。
ご相談の中にも・・・

  • ニキビはターンオーバーの乱れで、古い角質が排出されないから
    できると知り、ピーリングジェルで角質を2落としたりもしましたが、特に良くならず・・・
  • 常に左頬に違和感を感じます。ターンオーバーが死んでいるんだと思います。化粧水も浸透していない気がします。
  • トレチノインでターンオーバーを促していますが、2週間目にして効果が無くなってきました。毎日ニキビが増えるのでどうしたらいいか分かりません。

など様々なものがあります。
ニキビを治す手段として、ターンオーバーをコントロールすればいいという考え方もあるようですが、なかなかうまく行かないというものです。
まずは情報を整理していきましょう。

表皮のターンオーバー

私たちの体の表面は、皮膚におおわれています。皮膚の役割は「そのと環境から身体を守る」です。そのため肌の表面には、「角質層」というバリア層が作られ続けています。(参照:きれいな肌とは

角質層自体は0.02mmの極めて薄いバリアです。
このバリア層をつくるため、さらに0.2mmほど深部の表皮基底層で分裂した細胞が→分解されながら押し上げられ→バリア層形成(ここまでを角化といいます)→垢になってはがれる。という繰り返しを続けています。

表皮ターンオーバーと角質層の構造

この細胞の入れ替わり・新陳代謝を、表皮のターンオーバーといいます。
一般的には、数週間~ひと月ほどのサイクルが理想と言われています。おそらく思われているより「ゆっくり入れ替わる」のが通常のサイクルです。

ターンオーバーの乱れとニキビ

角質層は身体表面のバリアなので、壊れる、刺激や乾燥にさらされることもあります。また、その時々の体調やストレスも関与しますし、人によってはバリアが元々弱いなどの悪条件もありますが、

角質層だけで十分なバリアではなくなると、皮膚は通常よりも急いでバリアを入れ替えます。(参照:肌トラブルとは

ターンオーバーの乱れ

状況に応じてバリアを急いでつくることは身体を守るための通常の反応です。
ただ、急いで作られるバリアは、「もろい・硬い・乾く・はがれる・厚い」など、様々な美容上の問題を抱えてます。

感触としては肌荒れ、ゴワゴワ、ガサガサ、カサカサ、など、手触りの良いものではありません。

また、肌の表面は毛穴の中まで入り込んでいるので、ここが荒れると、「毛穴づまり(角栓)、毛穴のふさがり(ニキビ)」となります。

ふさがってしまった毛穴は→皮脂が出口を失い→「酸素が嫌いで、皮脂が好きなニキビ菌」が増殖しやい環境→ニキビ形成やニキビの悪化、になります。

ほとんどの方は一時しのぎのバリアの下から、新しく丈夫なバリアがつくられ、「正常なバリアの入れ替えのサイクル」に回復します。その結果、毛穴はニキビ状態になりません。

では、「ニキビが慢性化して治らない(出続ける)」という場合、肌はどんな状態になっているのでしょうか?

ターンオーバーの期間=ニキビが治る期間ではない

「角質が出口をふさぎ、皮脂や剥がれた角質が出れない状態の毛穴」がニキビの構造です。

だから目的が「ニキビを治す」という場合は、ピーリングやニキビ用の薬、化粧品などで、角質の除去を行います。それで「今あるニキビ」は構造が壊れ、治ります。
でも、その時ニキビが治っても、肌表面では「バリアの入れ替え」は繰り返されています。

ニキビの時の角質層とターンオーバーの状態

入れ替わる新しいバリアが、また毛穴をふさげば、毛穴は「またニキビ」状態です。「細胞を入れ替えてもできる」のです。

多くの方は「ニキビのくり返し=ニキビが治らない」と考えますが、「治しても、またできる」「完治したのにまたできる」が実際の状態です。(「治す・治る」という言葉のイメージと、実際の状態のズレの問題です)(参照:ニキビ治療は対症療法なので、根本的に治したい。というご相談皮膚科でもくり返す、しつこいニキビを根本的に止める方法

ターンオーバー促進のセールストーク

主にピーリング系、サリチル酸配合などの化粧品類で「古い角質が毛穴をふさぎ…」というものが好まれます。

「肌が古いからニキビができる」と煽りを受ければ、誰でも自動的に「古いものを、新しいものに入れ替えれば解決」とイメージしてしまいます。

特に、荒れた状態の角質層を壊す・溶かす・剥がすなどの行為は、つるっとした感触を得られますので、短期的には良くなった感じがしてしまいます。

でも、角質層は「体を守るバリア」なので、過度、または継続的に壊すと、肌はバリアを急いで修理したり、炎症を起こすなど、さまざまな問題を起こします。

ピーリングでターンオーバーを促してもニキビをくり返す

さわり心地がよくても、細胞を入れ替えても、「新しくてトラブルを起こしやすいバリア」がつくられるままなら、トラブルを起こしやすいままだからです。

※ニキビ治療はアメリカでも盛んに開発されますが、以下の記事にもあるように、”ターンオーバーが「遅いから」、肌の毛穴を詰まらせる”という前提を置く傾向があります。でも必ずしも黄色人種も同じであるとは限りませんし、個人差もあるので注意が必要です。(参照:Adult Acne: Why It Happens and How To Treat It-huffingtonpost)

では、ターンオーバーを促すための、治療や化粧品や薬やサプリ、エステはどうなのか?

ターンオーバーを促す治療や化粧品、薬やサプリ、エステは?

最近では人気も下火の感がありますが、今でもAHAやフルーツ酸、サリチル酸など、ピーリング効果のある化粧品で「角質代謝を促そう」といった宣伝もあります。

また、レチノール配合化粧品や、レチノイン酸(トレチノイン)、最近ではビタミンA導入のエステなども、角質代謝を促進させる目的、もしくはイメージさせる方法かと思います。

いずれも、「入れ替えれば良くなる」という考え方ですが、細胞や物質を新しくても「トラブルを起こしやすいバリア」が入れ替わるだけなら、やはりトラブルを起こしやすいままです。

なぜならこれらは「肌を元気にして細胞を入れ替える」のではなく、バリアを壊して、肌を緊急事態に陥らせる方法です。だから一時しのぎのバリアをくり返し作ることにもなるのです。

また、ここ数年、ビタミンA導入のエステで、赤みがひどくなったなどのご相談を受けることも増えています。
ビタミンAは表皮のターンオーバーを促進しますし、また炎症も起こしやすいので、どのような導入方法かに限らず、トラブルを起こしやすい場合は避ける方が無難でしょう。

かといって逆張りの角質培養や肌断食でも・・・

逆に敏感肌市場・ナチュラル自然派市場では「ニキビの原因はターンオーバーが早いことだ」と宣伝されます。

ニキビと毛穴と角質層の状態

肌断食や、角質培養などでも「角質を除去しすぎると、未熟なバリアになる」という説明です。

上記に従い、「バリアの壊しすぎ」を回避すれば「壊しすぎによる悪化」のリスクは避けることができます。

悪化リスクを避けているうちにバリアが回復する場合はいいのですが、回復までに別のトラブルが起きることもあります。

仮にある程度落ち着いたとしても、肌がキレイになるかどうかは、元の肌質に依存しますし、それでトラブル自体が起きやすいなら、やはり「バリアを正常に回復できていないまま」です。

また、化粧品成分は「肌を健康にする薬」ではありませんので、過剰に「効果」を期待したり、反動で「副作用」をイメージするのも間違いのもとです。

「ターンオーバーの乱れ」はニキビの原因ではない

仮にですが、「ゆっくり弱いバリアを作る」なら問題はないのでしょうか?体を守るバリアとすれば、むしろ問題は大きいですね。

表皮のターンオーバーは「細胞の入れ替わり」の説明であり、実際の肌は急いでバリアを修復する必要があれば早く作り、必要が無ければゆっくり作ります。

「ターンオーバーの乱れが肌トラブルの原因」として説明されがちですが、実際のターンオーバーの速度の変化は、肌が必要に応じて調整しているものです。(原因というより、「肌トラブルに伴って起きていることが多い反応」です。)

では、肌をどうすればいいのか?ニキビはどうなるか?については、まずはWEBカウンセリングからご相談ください。

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2018年3月14日18:08 / 投稿者:kazuyuki terada